
はじめに:なぜ「HARVES」が注目されるのか
近年、「農家自らが育てた野菜や果物、お米などをインターネット経由で直接販売したい」というニーズが高まっています。しかし、自社でゼロから EC サイトを構築するには技術やコストがかかり、既存のモール型サービスでは「ショップの世界観」や「生産者としてのこだわり」を表現しづらい、という課題があります。
そんな中登場したのが、国内 WordPress テーマを手がける TCD による「HARVES (TCD118)」。このテーマは、まさに「農家のためのネットショップ」を念頭に設計されており、単なるネットショップではなく生産者の思いや背景を伝えるサイトデザインと、実用的な EC 機能を兼ね備えています。2025年8月にリリースされ、以降もアップデートが続けられている注目のテーマです。
今回は、HARVES の特徴と機能構成、どのようなショップに向いているか、導入メリット、そして最新のアップデート状況まで詳しく解説します。
HARVESとは:コンセプトと基本情報
コンセプト
HARVES は「農家・生産者が育てた農作物を、オンラインで直接お客さんに届ける」ことを想定した EC 用 WordPress テーマです。販売機能は、無料プラグイン WooCommerce に対応しており、カート・在庫管理・決済など基本機能はそのままに、テーマ側でデザイン性・使いやすさ・信頼感を強化しています。
つまり、単なる「オンラインショップ」ではなく、「生産背景や世界観も含めたショップサイト」を作れるテンプレートであり、特に農家、自家栽培や地域特産品、小規模生産者などを想定したこだわりのある EC サイトに強みがあります。
基本スペック・購入情報
- テーマ名:HARVES (TCD118)
- 価格:45,000円(税込 49,500円)
- 必要環境:WordPress 6.x 以上、サーバー PHP 8.1 以上
- 購入方法:クレジットカード、PayPal、銀行振込に対応。購入後、会員向けマイページからテーマ本体とオンラインマニュアルが入手可能。
- 付属資料:オンラインマニュアル、Q&A 集など。
主な機能と特徴:ECサイトに必要な仕組みを網羅

HARVES が提供する主な機能と、その特徴は次のとおりです。単なる商品販売だけでなく、売れるショップづくりを強く意識した設計がなされています。
トップページ + 高機能ビルダー
- ヘッダー、メインコンテンツ、フッターなどを自由にレイアウト可能。
- 専用のコンテンツビルダーにより、どのセクションをどこに配置するか、順序の入れ替えも自由。専門知識なしでプロが作ったようなサイトが可能。
- デモサイトを見ると、「私たちのこだわり」「季節のギフト」「旬の夏野菜と果物特集」など、ショップの世界観を伝える構成がわかる。
WooCommerce 対応の商品ページと商品一覧ページ
- WooCommerce の標準機能を土台にしつつ、テーマ側で UI/UX を改善 — 海外製の「とっつきにくい」UI から、日本的で親しみやすいデザインに再構築。
- 商品ページは、単なる商品情報ではなく、商品のストーリーや背景、こだわりを伝えられる構成。写真、説明、レビュー、関連商品、最近見た商品、お気に入り機能など、購入を後押しする設計。
- 商品一覧ページも見やすく、フィルターやランキング、カテゴリー分けなど、ユーザーが目的の商品を探しやすい構成。
特集ページ、ランキングページ、FAQ/お知らせ、固定ページテンプレート
- 分野別・季節別などで商品をまとめて紹介できる「特集ページ」を簡単に作成可能。紹介したい商品をショートコードで呼び出すだけで OK。
- 「売れ筋ランキング」や「人気商品ランキング」ページを作れるテンプレートもあり。新着商品や特売、旬のものを目立たせやすい。
- カスタム投稿タイプで「お知らせ」「よくある質問 (FAQ)」を管理可能 — EC サイトとして必要な情報発信・サポート体制を整えやすい。
- 固定ページテンプレートとして、ランディングページ(LP)、著者ページ、利用規約、特定商取引法表記など、ECサイト運営に必要なページも標準装備。
ブログ/コラム機能 & SEO 対応
- ショップだけでなく、ブログやコラムなどコンテンツ発信できる機能を予定。生産者のストーリーやレシピ、食べ方紹介などを書くことで、ファンを育てやすい。
- カテゴリーやタグ、アーカイブページなどで SEO を意識した構成。検索エンジンからの集客も見込めるようになっている。
デザイン・カスタマイズの自由度が高い
- Web フォント(複数種類)、カラー設定(プリセット+カスタム)、カスタム CSS/スクリプト対応。サイトの世界観に合わせたデザインが可能。
- レスポンシブ対応(PC/タブレット/スマホ)、ホバーエフェクト(ズーム・スライド・フェード)など、UI/UX に配慮。
- PWA 対応、microdata 形式のパンくずリスト対応、カスタマイズ可能な 404 ページや検索結果ページなど、細かいところまで調整可能。
HARVES が向いているサイト・ユーザー像
HARVES は、特に以下のようなサイトやユーザーに向いています。公式でもこれらを想定対象として挙げています。
- 自家栽培の野菜、お米、果物などを販売したい農家・個人生産者
- 地域の特産品や加工食品を扱う地域 ECやD2Cをやりたい小規模事業者
- 季節ごとに変わる商品を、旬のギフトとしてまとめて販売したい場合
- 商品だけでなく、ストーリーや世界観を伝えたいこだわりショップ
- 初心者〜中級者で、コストを抑えて本格 EC サイトを構築したい人
つまり、「大手 EC モールではなく、自分たちだけのブランドを育てたい」「自分たちのストーリーや想い、お店の雰囲気を伝えたい」という人や事業に、特にマッチしています。
HARVES を使うメリット — コスト・使いやすさ・売れるデザイン

HARVES を導入することで得られる主なメリットは、以下のような点です。
低コストでフル機能の EC サイトが構築できる
- WooCommerce は無料で、レンタルサーバー+ドメイン+テーマ代だけで EC サイトが成立。月額固定費も抑えられる。
- 自社で更新や管理が完結するため、外注コストや保守費用が不要。やりたいときにすぐ情報更新可能。
デザイン性・UI/UX 重視 — よそと差別化できるショップに
- 海外製プラグイン特有の「冷たい」「無機質な」UI とは異なり、日本的で親しみやすく、かつプロ仕様のデザイン。生産者の想いや商品の魅力を視覚的に伝えやすい。
- トップページや特集ページ、商品ページなどの構成が柔軟 — 季節やイベント、ギフト企画などをタイムリーに展開可能。
必要な機能を網羅 — EC 運営に必要な要素が揃う
- 商品カード、レビュー、関連商品、お気に入り、最近見た商品一覧、ランキング、特集ページ…など、EC によくある機能を網羅。
- FAQ、お知らせ、利用規約、特定商取引法の表記など、運営に必要なコンテンツもテンプレート付きで対応可能。
- ブログ機能+SEO対応で、ショップ以外からの集客チャネルも。長期的にリピーターを育てやすい。
初心者でも扱いやすい設計
- 専用ビルダーでパーツを自由に配置でき、専門的なコーディング知識は不要。PC が使えればショップ設置可能。
- カスタマイズ性も高い — デザインやフォント、カラー、レイアウトなどを自分で調整できるため、自社ブランドに合わせやすい。
注意点・導入時の確認事項
もちろん便利な反面、HARVES を使うにあたって注意すべき点もあります。
- 決済手段(クレジットカード、電子マネー、コンビニ決済など)は、別途契約が必要。テーマや WooCommerce 自体は無料またはテーマ代のみだが、実運用には決済サービスの契約が前提。
- サーバー要件として、PHP 8.1 以上、WordPress 6.x 以上とやや最新の環境が必要。古いサーバー設定だと対応できない可能性あり。
- デザインの自由度が高いため、逆に「どこに何を置くか」「どう魅せるか」を考える必要がある — デザイン設計の手間やセンスが求められる。
- WooCommerce をベースとしているので、カート機能・決済機能・在庫管理などはプラグインや追加アドオンに頼ることが多く、完全な “ワンストップ運営” には多少の設定が必要。
最新アップデート状況(2025年リリース後の改良点)
HARVES はリリース後も改良が継続されており、使いやすさや機能性が日々向上しています。特に最近のアップデートは次のとおり。
| 日付 | バージョン | 主な変更内容 |
|---|---|---|
| 2025-11-20 | Ver 1.2 → 1.3 | サイドボタンの見出し・説明文を登録して展開できる仕様に変更。フッター関連のファイル調整。 |
| 2025-10-29 | Ver 1.1.3 → 1.2 | 管理画面のデザイン改善 → 商品設定の「表示する」チェックボックスをトグルボタンに変更。 商品ページ下部に「お気に入り商品一覧」を追加。アップセル・関連商品・最近見た商品の並び替え表示に対応。 |
| 2025-10-17 | Ver 1.1.2 → 1.1.3 | 固定ページテンプレート「LP」のコンパクト時スタイル調整。フォント設定に注釈を追加。 |
このように、HARVES は機能追加や UI 改善によって、より使いやすいテーマへと進化を続けています。特に「お気に入り機能の改善」「関連商品・アップセル表示」「UI の改善」などは、売上やコンバージョン率の向上に直結するアップデートです。
どんなショップに特におすすめか:活用シーンの具体例

ここまで見てきた特徴を踏まえると、HARVES が特に力を発揮するのは、以下のようなショップ・事業スタイルです。
- 地方の農家が直販サイトを立ち上げたい場合
自然農法や有機農法で作った野菜・米・果物を、自身のストーリーとともに伝えて販売。既存モールでは表現できない想いやブランディングを出せる。 - 季節の商品・ギフト商材を扱うショップ
例:夏野菜・果物の旬、冬のギフトセット、季節ごとの特集ページなど。特集ページやランキング機能を活かして、顧客に季節を感じさせる通販体験が可能。 - 加工食品、地域特産品、手作り食品の販売
農産物だけでなく、ジャム、漬物、発酵食品、加工品など、ストーリーやこだわりが伝わりやすい商品に向いている。 - 小規模事業者、初めてネットショップを運営する人
WooCommerce + HARVES ならコストを抑えて始められる。サーバーとドメイン代、テーマ代だけで始められ、運営も自分たちで行いやすい。 - ショップの世界観を大切にしたブランド運営
シンプルに“売るだけ”ではなく、ショップの背景、想い、季節感、ストーリーを伝えたい人に最適。
導入の流れとコツ — HARVES を最大限活かすために
HARVES を導入するにあたって、スムーズに構築するための流れとポイントは次のとおりです。
- サーバー・ドメインの準備
- PHP 8.1 以上、WordPress 6.x に対応したレンタルサーバーを用意
- ドメイン取得
- WordPress インストール → HARVES テーマ適用
- テーマを購入し、ZIP をアップロード or FTP で配置
- テーマオプションで基本設定
- WooCommerce プラグイン導入 → 決済設定
- 無料版 WooCommerce を導入し、商品登録
- 決済代行サービスと契約(クレジットカード決済など)
- トップページ・各種固定ページの設計
- コンテンツビルダーで、ショップのストーリーや世界観に合ったレイアウトを構成
- 「私たちについて」「こだわり」「ギフト特集」などを配置
- 商品登録 & 商品ページのカスタマイズ
- 写真、説明文、特徴、ストーリーなどを丁寧に設定
- レビュー、関連商品、おすすめ表示などを有効活用
- 特集ページ、ランキングページ、FAQ、お知らせなどの整備
- 季節商材、キャンペーン、FAQ、お知らせを整備し、訪問者に安心感を与える
- ブログやコラムでコンテンツ発信 → SEO 対策
- 生産者の背景紹介、レシピ、旬の情報などを書き、ショップの価値を高める
- スマホ対応・レスポンシブチェック
- スマホでも見やすいか確認。PWA を活かすなら設定を忘れずに
- サイト公開 & 運営
- 定期的な新着情報、特集、季節ごとの更新で、“ショップに訪れる価値”を維持
コツとしては、単に「商品を並べるだけ」ではなく「ストーリー × 季節感 × こだわり」を大切にすること。また、写真や説明文に力を入れることで、テーマのデザイン力がより活き、ユーザーの信頼感・購買率が上がります。
なぜ今注目なのか:HARVES のリリース背景と時代とのマッチ

- コロナ禍以降、地域・地方からの通販ニーズの高まり
多くの消費者が自宅で買い物する機会が増え、「お取り寄せ」「地方直送」「産直野菜」などのニーズが急増。こうした流れのなかで、農家や小規模生産者が自ら EC を始めやすい環境は求められていました。 - 既存モール型 EC の限界
モールではブランドの世界観や生産者の想いを伝えづらく、手数料や競合の多さも課題。自社サイトであれば、ブランディングも収益も自社に残りやすい。 - WordPress × WooCommerce の成熟
無料プラグインでありながら、機能・拡張性が充実。そこに HARVES のようなテーマが加わることで、技術的ハードルが下がり、誰でもプロ並みのショップを構築可能。 - ストーリー消費・“作り手の顔が見える”商品の価値向上
消費者は “誰が、どこで、どう作ったか” を気にする傾向が強まり。HARVES は商品だけでなく、背景や想いも伝える設計なので、この流れと合致。
こうした社会背景や市場の変化もあり、HARVES のような「使いやすく、表現力の高い EC テーマ」が非常に注目されています。
まとめ:HARVES は“売るだけじゃない”ECサイトを実現する
HARVES は、ただ商品を並べて売るだけのネットショップではなく、「生産者の想い」「商品の背景」「季節ごとの彩り」「ショップのストーリー」を伝えることができる、ストーリー型 EC サイト構築のためのテーマです。
特に、農家・地域の加工食品メーカー・小規模生産者・こだわりショップなど、「ブランド性」や「世界観」を大切にしたい人にとって非常に心強い選択肢になります。そして、WooCommerce をベースとすることで初期コストを抑えつつ、必要な機能を網羅。さらに、デザイン性・操作性・SEO・スマホ対応など、現在のネットショップに求められる要件も漏れなく押さえています。
かつ、2025年11月時点でもアップデートが続けられており、機能改善や運営のしやすさの向上が図られているため、長期的に見ても安心できるテーマです。
どういう人に特におすすめか
- 自家栽培の野菜・果物・お米をネットで直販したい農家の方
- 地域資源・特産品・加工食品を扱う小規模事業者や D2C を検討している人
- 季節ごとの商品やギフト販売を企画している人
- 単なる通販ではなく、ブランドとしての世界観を伝えるショップをつくりたい人
- 初めてでも扱いやすく、低コストで本格 EC サイトを始めたい人